特集 [総括と展望]建築2016/2017
座談会 平田晃久×藤本壮介×二川由夫
特集 [PLOT 設計のプロセス]
13組の建築家たちから発せられた、ナマな言葉で紡ぐ設計のプロセス


表紙は、妹島和世さん設計の「すみだ北斎美術館」。実は、天気や時間で表情が様々に変わり、あちこちの風景が映りこむ多面体状の外観は、北斎の多視点の表現からインスパイアされたものだそう。建物はスリットで内外の関係をつくりながら、美術館としてきっちり守られた空間をつくっているけれど、「内外の関係をつくる」という誰でも言いそうなことを昔からずっと考えてきた妹島さんの空間はやはりスゴいです。地上階の街との関係、上階でのホワイエの明るさや風景の見え方などなど……。使われ方も、どんどんアップデートしていきそうです。


特集
[総括と展望] 建築2016/2017
座談会 
平田晃久×藤本壮介×二川由夫



今年の動向と今後の見通しを語る「総括と展望」座談会には、同世代の平田晃久さんと藤本壮介さんが登場。いつもと少し趣向を変えて、世代的にも「ど真ん中」で親しいお二人だからこそ、今の状況で自分たちがどう行動するかという視点から、ぶっちゃけたところで語っていただきました。
192 total pages, 88 in color
ISBN978-4-87140-943-8 C1352
2017
年1月1日発行
¥2,566(税込)

 
在庫僅少



特集
[PLOT 設計のプロセス]
13組の建築家たちから発せられた、ナマな言葉で紡ぐ設計のプロセス




妹島和世+西沢立衛/SANAA
「台中市文化センター」編

設計:SANAA
語り手:妹島和世,西沢立衛

全体像が変わるパブリックスペース 脱・球体いろいろな場所を巡り合わせるスケールならではとスケールの超越





CAt「京都外国語大学新4号館」編

設計:CAt
語り手:赤松佳珠子・高橋好和

静かの庭と語らいの庭
様々な活動の重なり少しだけ佇むことの豊かさ小嶋的思考の共有




隈研吾 「品川新駅(仮称)」編

デザインアーキテクト:隈研吾建築都市設計事務所
語り手:隈研吾建築都市設計事務所/隈研吾・川西敦史, 東日本旅客鉄道/山田眞左和

都市における 「長さ」の可能性
ウォーカブルな都市環境複合体の特異点ミドル・スケール=ストリート・スケール「間口の単位」のデザイン





市川創太 「なご原の家」編

設計:doubleNegatives Architecture
語り手:市川創太

ノーテーションと情報のマッピング
Super Eyeが見るものSuper Eye、Corporaという手法の目指すもの





石上純也 「8 Villas in Dali」編

設計:石上純也建築設計事務所
語り手:石上純也

別荘の集合住宅を考える
コンテクストから構成を考える既存のものと新築のもの別荘らしい空間





山梨知彦/日建設計
「桐朋学園大学調布キャンパス1号館」編

設計:日建設計
語り手:山梨知彦,笹山恭代,石原嘉人,角田大輔,佐藤隆志

山梨チームの新たな秘策リサーチとアウトプットをシームレスに繋げる建築家とデジタルがインタラクションするBIMの変化 「作図」や「確認」から「試行錯誤」のツールへスタディ・プロセスをシリーズ化するズレによって生まれるブワブワした空間
ブラー建築の可能性





柄沢祐輔 「villa kanousan」編

設計:柄沢祐輔建築設計事務所
語り手:柄沢祐輔

アルゴリズムと身体感覚身体性のアップデートプロトタイプとネットワーク「villa kanousan」のスタディタイポロジーとディテール





長坂常 「延岡の家」編

設計:スキーマ建築計画
語り手:長坂常

どこまでできるか考える余った空間をどうするかスタディの方法とものの組み立て何をデザインするか





伊東豊雄
新国立競技場整備事業公募型プロポーザル応募案

語り手:伊東豊雄+S.S.
東建男・古林豊彦・樽谷敦・南俊允・竹内啓・長曽我部亮

白紙撤回後に入ったスイッチ二段式スタンド静けさにも対応する聖域中間層免震と燃エンウッド渋谷川の復活と明るい武蔵野の森根源回帰





平田晃久 「Overlapped Habitations」編

設計:平田晃久建築設計事務所
語り手:平田晃久

来歴を塗り重ねた立体庭生命論的建築





前田圭介 「Butterfly 間∧屋」編

設計:UID
語り手:前田圭介

「数寄屋」がテーマ屋根がつくる空間スタディの変化初めて構造部材が顕在化?ディテールの考え方





藤本壮介 (仮称)石巻市複合文化施設」編

設計:藤本壮介建築設計事務所
語り手:藤本壮介、岩田正輝(担当スタッフ)

ショッピングセンターにならないためにブラックボックス化しない公共施設家型か、箱型か一見地味に見えても環境に応答する「おふくろの味」はもうやめた包むことを真面目に考える





大西麻貴+百田有希 「多賀町中央公民館」編

設計:大西麻貴+百田有希/o+h
語り手:大西麻貴・百田有希

五箇荘近江商人の家動線空間なりの魅力妹島和世の「京都の集合住宅」屋根と構造モジュール大きなスケールに盛り込む濃密な体験


特集は、毎年恒例の展覧会と連動した、設計プロセスに迫るPLOTの特別編。設計中の思考やスタディ模型は、意外と後から振り返ると残っていないもの。そのライブな意識を記録し、「今」をかいま見ることができます。今年は13組の建築家が登場。「スタディ方法のいま」を伏線に、最新プロジェクトの問題意識に対する方法論を語っていただいています。また、3組の方には挑戦的な設計手法を展開した完成作品から、リバースエンジニアリング的に方法の意味を伺いました。


作品
直島港ターミナル SANAA
まる SANAA
Spring 妹島和世
すみだ北斎美術館 妹島和世
解説:「街や公園とつながる新しい風景をつくる」 妹島和世
宮城女子大学附属認定こども園 「森のこども園」 伊東豊雄
解説:「森のこども園」 青柳有依
河口湖とらのこ保育園 山下貴成
解説:「小さくてもそれぞれの場所がある保育園」 山下貴成
ROROOF 駒田剛司+駒田由香
解説:「ROROOF」 駒田剛司+駒田由香

作品は7件。伊東豊雄さんの「森のこども園」は、ミッション系の宮城学院大学の附属ということもあり、北欧系の幼児教育の場となる大らかな空間。自然との関係が重要で、廊下などの空間も連続屋根の下に続いている感覚が新鮮。いわゆる四角四面のお部屋の中の体験ではなくなっています。山下貴成さんの保育園も、周りの自然や人間との関係が心地よい建物。いろいろな方向と関係をつくる不定形な建物を、ちゃんとものの組み立てまで貫いてつくっています。SANAAと妹島和世さんによる3つの建築/展示は、それぞれの場所を少しずつリノベーションするようなもの。それぞれまったく異なる素材感を持ちながら、ただ「合わせる」のとは違う提案がされています。

連載
エッセイ
地球の景色 13
藤本壮介

GA広場
樹上ユニットによる組積木造
丘の礼拝堂
百枝優・荒木美香
古代の繊維補強樹脂で 家具をつくる
乾漆のテーブル
金田充弘
追悼・小嶋一浩 西沢立衛

GA広場では、2016年10月に急逝された小嶋一浩さんの追悼文を、西沢立衛さんに寄稿していただきました。常日頃、小嶋さんから受け取っていたはずのメッセージを、もしかしたら失われたからこそくっきりと記してくださっています。ぜひ読んでいただきたいページです。