特集 [建築家への道]
9組の建築家・クリエーターが語る各々の「建築家への道」

表紙は、西沢立衛さん設計の「日本キリスト教団 生田教会」。これまでプロセスで、形の決まり方や新しい建築の組み立て方にフォーカスしてご紹介してきましたが、その成果がついに登場! 柱や梁といった構造からガラス面や軒天といった組み立てを一から考えた結果、一体どうなったのか。それによって空間の質がどう変わるのか、果敢に攻め続ける最前線の取り組みは見逃せません!

作品
日本キリスト教団 生田教会 西沢立衛
解説:開放的で活力ある教会のすがたとは 西沢立衛
広尾の教会(21世紀キリスト教会広尾教会堂) 安藤忠雄
解説:広尾の教会 CHURCH IN HIROO 安藤忠雄
東亜道路工業本社ビル 日建設計
解説:閉じたシステムでなく流れから建築をつくる 勝矢武之+團野浩太郎
新栄保育園 16アーキテクツ+Sma
解説:自立した個を育てる社会に開いた保育園 小川達也・松田光司・渋谷真弘

作品は4作。西沢さんの「生田教会」のインタヴューでは、その前提として、実は空間構成と配置というこれまで大事だったテーマが封印されていたことが明らかに! そこで西沢さんが何を考えていたかの思考も新鮮です。安藤忠雄さんの「広尾の教会」も「生田」同様、プロテスタントの教会堂です。三角形のはっきりした空間の形を活かしつつ、音楽演奏をしたり、カフェや集会室を備えたつくりになっています。空間的フレームと素材、アクティビティの関係が優しい構成になっています。


特集
[建築家への道]
9組の建築家・クリエーターが語る各々の「建築家への道」


吉村靖孝「社会を材料に現代建築をつくる」
100万人と3万人の違い
戸建て住宅=赤字オランダの建築家像あらゆる与件を材料として捉える教育のカリキュラムと世代間格差の問題半計画・半所有・半遠隔

国広ジョージ「挫折したから見える道」
建築家への道は,挫折の道
安藤忠雄との出会い社会派の根っこ2%の建築家建築家の教育

篠原聡子「今こそ、住まうから現代建築を考える」
農家で生活する核家族
自分の体験と教育のギャップゆっくりで良い都市の残余や周縁の価値


名和晃平「自由に建築に参加できる時代」
彫刻家・名和昇平の建築のルーツ
クロスジャンルとブレイクスルー建築家の力/アーティストの力個性と新たなグループワークの現代的統合

谷尻誠+吉田愛 「〈本物の建築家〉になるための紆余曲折」
本物の建築家は違う!
ウナギの寝床とイームズの椅子大きい,小さい,高い,低いコックリさんのような無意識


藤原徹平「隈事務所十三年で体得した原石の扱い方」
隈建築に対する興味の芽生え
長期在籍者ゆえの悟りの境地コンテンポラリィの中での同時代性Nobodyになるな!ヴァナキュラーとコンテンポラリィのブリコラージュ

齋藤裕「〈建築の目利き〉になること」
建築のエッセンス
経験と比較終わりのない旅ルールとアドリブ楕円の法則

A・クライン+M・ダイサム「人生をリッチにするための時間や場所」
RCAでの出会い
来日した頃の日本日本で独立!脱POP宣言!

藤本壮介「人間と建築の原型からのスタート」
ひとりで建築を始めること
散逸構造,複雑系。アフォーダンス設計の経験が重なり合う実家のつながり/精神病院少し外れたところから,芯が見える決定的に欠けていたモノ日本でつくること

特集コラム:国土交通省「建築士法、最大の改正のポイントと傾向」


特集は「建築家への道」。日本では社会的な資格として明確に定義されているわけではない「建築家」。産業も教育も政治……。様々な側面が絡み合う中で、日本の建築家はどのように「建築家になる」のか。異分野、海外からの視線も含め、刺激的な話が展開していきます。建築という「モノ」をつくることを中心に、非常に大きなひろがりがある建築家への道。その中から、大切なことが伝わってきます。


PLOT
「Forest of Music」編
設計:藤本壮介、
語り手:藤本壮介
phase 1
コンペティション
「みんなの森 ぎふメディアコスモス」編
設計:伊東豊雄、
語り手:東建男・古林豊彦・
庵原義隆・南俊允・磯田和明
phase 4
佳境を迎えた現場
「流山市立おおたかの森小・中学校」編
設計:CAt、
語り手:小嶋一浩・赤松佳珠子・大村真也
phase 4
ゾーン・カラーと仕上げ
「鶴岡市文化会館」編
設計:妹島・新穂・石川共同体、
語り手:金田充弘・池田賢
phase 4
実施設計までの構造の考え方

設計プロセスに密着するPLOTは、充実の4題。冒頭は、国際コンペティションに勝利された藤本壮介さんの「Forest of Music」。アイディアとリアリティの関係で、どこまで提案できるか。新たなフェイズに入った(?)藤本建築の姿に注目です。伊東豊雄さんの「ぎふメディアコスモス」は、東日本大震災後の伊東建築の姿が現れつつあります。小嶋一浩さん、妹島和世さんのPLOTも含めて、建築の「現場」で何が変わりつつあるのか、感じ取れるにちがいありません。


時評
エッセイ
地球の景色 2
藤本壮介


連載
二川幸夫の眼 6 小嶋一浩


GA広場
「時間を超えて一つにつながるキャンパスをめさして」
日本女子大学目白キャンパスグランドデザイン
妹島和世
「模型が資料からアートに変わる時」
建築倉庫
編集部
「火とともに暮らすためのランドスケープ・キッチン」
IRORI
大庭晋・田中麻未也
連載
ロボットはコンピュータの夢をかたちにするか?6
アンズスタジオ

連載・記事も、様々なトピックスが登場! 妹島和世さんによる「日本女子大学目白キャンパス」の再編計画は、スクラップ&ビルドで新しいキャンパスをつくるのでなく、まるで年を重ねた街のように変わっていくイメージです。キーになる部分は新しい要素を加えつつ、既にあるものをちょっと変えたり、それを「つなげて」いくことで、環境全体が「妹島建築」になるようなワクワクする提案でした。

176 total pages, 68 in color
ISBN978-4-87140-932-2 C1352
2015
年31日発行
¥2,566(税込)