特集 [コンペティション・トゥデイ]
今日のコンペティション/プロポーザル事情や戦略について7組の識者が語る


表紙は、伊東豊雄さん設計の「バロック・インターナショナルミュージアム・プエブラ」。日本での最新作「ぎふメディアコスモス」とは対比的な、もう一つの伊東さんの系譜、「幾何学の変形」による流動的な場の建築がメキシコに完成。すでに現場が話題にとなっている「台中メトロポリタンオペラハウス」とともに、新時代の伊東建築を切り開く建物は必見です。

184 total pages, 92 in color
ISBN978-4-87140-939-1 C1352
2016
年5月1日発行
¥2,566(税込)

 
特集
[コンペティション・トゥデイ]
今日のコンペティション/プロポーザル事情や戦略について7組の識者が語る


特集は「コンペティション・トゥデイ」。応募する側や選ぶ側による分析、話題の最新コンペ当選案での実践なども紹介し、コンペの今日的状況をリポートします。前例や過去の経験の確かさが重視される現状でも、現代の新たな社会的課題に対して、解決策をさぐる動きが出てきたのかもしれません。いま、建築に何が求められ、何が可能なのか。キーパーソンの言葉から予兆を感じ取ることができるかと思います。



応募する側に聞いてみた,コンペの今日的事情
大西麻貴+百田有希


「コンペの新たな必勝法?」


重鎮たちに負けじと,若い世代がコンペやプロポに勝つニュースを耳にする昨今。活躍めざましい新進気鋭の若手建築家に,現在のコンペを取り巻く状況について聞いてみた。


応募する側に聞いてみた,コンペの今日的事情
平田晃久


「より広範で多様な生態学的ニッチ」


より広範囲で多様な生態学的ニッチを追求する。「せんだいメディアテーク」の衝撃から「太田市美術館・図書館」の実現まで。


最新コンペ当選案を読み解く
伊東豊雄


プロジェクト「水戸市新たな市民会館」


最新コンペ当選案を読み解く
隈研吾


プロジェクト「日本平山頂シンボル施設」



最新コンペ当選案を読み解く
槇文彦


プロジェクト「Amaravati Capital Complex」


審査する側に聞いてみた,コンペの今日的事情
小嶋一浩


「建築が地域をアクティベートする力」


建築が地域をアクティベートする力となりえるのか。黒磯駅前に計画されている「
(仮称)まちなか交流施設」と「(仮称)駅前図書館」の審査について。


募集する側に聞いてみた,コンペの今日的事情
北川フラム


「アートから見る、建築が応えられること」


現代アートにおいても,環境や場所は大きなテーマの一つ。建築とアート,互いにオーバーラップするプロジェクトに関わってきたキーパーソンに聞く。

作品



バロック・インターナショナルミュージアム・プエブラ 伊東豊雄
解説:「グリッドを変形、溶融した現代のバロック」 伊東豊雄

 
INSIDE VIEW:「サンドイッチPC壁とバブルデッキ」 東建男・小針修一
フクマスベース/福増幼稚園新館 吉村靖孝
解説:「既製テント倉庫の内外を蛇行する壁」 野中あつみ
 
INSIDE VIEW:「レディメイドの作家性」 吉村靖孝
みやこ伊良原学園 安藤忠雄
解説:「みやこ伊良原学園」 安藤忠雄
おしか番屋 萬代基介
 
INSIDE VIEW:「東北でつくりやすさを考える」 萬代基介・佐藤淳
石巻市復興まちづくり情報交流館 牡鹿館 オオバ+萬代基介
Leco 長田直之
 
INSIDE VIEW:「ヴォリューム主義の集合住宅」 長田直之

作品は6題。バラエティに富んだプログラムですが、今号では一歩踏み込んで、建築的エッセンスを深堀りするページ「INSIDE VIEW」をご用意しました。様々な思考やコンセプト、技術的工夫を組み立てながら、最終的な建築デザインへと昇華させていく。そんな建築が建ち上がるまでに込められたエネルギーについて語られたインタビューとともに、今一度、ヴィジュアル・ページも眺めていただけますと幸いです。

PLOT
「ゆすはら森の中まるごと図書館 複合福祉施設」編
設計:隈研吾、
語り手:隈研吾・宮澤一彦・田中邦明・
三上恵理華・成澤佳祐
phase 1
ノコギリ屋根から切妻屋根へ
「アートビオファーム プロジェクト」編
設計:石上純也、
語り手:石上純也
phase 2
イメージの転換

PLOTは2題。まずは、隈研吾さんによる高知県梼原町の新施設。20年以上関わり続けてきた経験はどのような建築に結実するのか。複合施設に対して、屋根や木組みといった既成の隈ヴォキャブラリーを展開させながら、複合した要素の関係性や町との距離、開き方など、簡潔さや明快さを持たせながらチューニングしていきます。手法が共通だからこそ浮かび上がる意図とは? 石上純也さんの「アートビオファーム プロジェクト」は、里山のような森の風景を、ある意味で非常に人工的につくっていくプロジェクトです。石上さんが拓いていく未知なる世界は毎回ドキドキさせてくれます。

new TRAVELING AROUND THE WORLD
PUEBLA, MÉXICO GA photographers
前号の旅特集から展開し、新たに今号からグラビア連載として「Traveling Around The World」が始まりました。今回はプエブラの街を旅します。伊東豊雄さんが前号のインタヴューで仰っていたプエブラの「黒いマリア」も出てきます。テキスト豊富な本誌の箸休めとして、写真を通じて一緒に旅に出ましょう。

連載
エッセイ
地球の景色 9
藤本壮介
二川幸夫の眼 13 細谷巖
ロボットはコンピュータの夢をかたちにするか?13 アンズスタジオ

アンズスタジオの連載では、BIMの本当のところに話題が突入。これから、建築のつくり方はどれくらい変化していくのか。建設費高騰、職人不足や様々な技術の進歩など、モヤモヤした状況に串を通すようなシャープな議論が展開します。 「二川幸夫の眼」では、二川幸夫と共にGAシリーズをつくったグラフィックデザイナー、細谷巌さんにご登場いただきました。二川との出会いや仕事については勿論、GAロゴ誕生の秘密まで初公開します。

時評
トリビュート 「追悼 ザハ・ハディド」 二川由夫

GA広場
アーバントレイル的な検索性と散策性
(仮称)那須塩原市 駅前図書館
伊藤麻理
走りながら人と一緒に風景をつくる特急
西武鉄道新型特急車両
妹島和世
追悼・高橋てい一 山本理顕

妹島和世さんが取り組んでいる西武鉄道の新型特急車両。考えてみるとかつてない空間になりそうだし、走っている風景を想像すると刺激的です。
一方で、今号では訃報記事が2つも。一つは長老高橋てい一さん。常に次の世代へのメッセージを送ってくれていました。もう一つは、突然の一報となったザハ・ハディドさん。彼女から受け取ったもの、これから受け取るものはまだまだ多くありそうです。