朝からヘビーな移動。
空路でコペンハーゲンからオスロ,乗り換えて北の町ボードー,そこからレンタカーを借りて北上すること4時間余、北部オップラン県の小さな町, 北極圏のすばらしい自然の風景に囲まれた村,ハマロイに4時半に到着。
ここに生まれた小説家,クヌート・ハムスンを記念した建物の撮影である。
建物は,アメリカ人建築家スティーヴン・ホールの設計。
設計開始から実に15年間を経て,今年,作家の生誕150年を迎えた8月,竣工を前にオープニング・セレモニーが行われたのだった。
壁面がすべて微妙に傾いている塔状の建物は,遠くからも見つけることの出来るランドマークとなり,コンクリート造,黒く塗られた木製の外装を纏う。
ハムスンの作品とそのドラマティクな人生はホールの紡ぎだすレトリックによって翻訳され,この地に根付かされた詩的な建築。
ホールの先祖は北欧からの移民であり,彼はこの仕事に力を入れていた。15年前,プロジェクトの最初に描いた水彩スケッチの強いイメージは,大きく変わる事無く,歳月を経て実現されていることに驚く。
夕方,暫く現場にいた後,30km先にあるホテルへ向かう。途中夕暮れの空に満月,今日は世界中,どこでも中秋の名月。
シーズンオフの閑散としたホテルでは,周辺の住人達が正装して集まっている。
年に一度の干し鱈の料理を食べるフェスティバルが行われるという。いっしょに参加しないかという誘い,ありがたく受けることにする。
ビュッフェは日本でヴァイキングと呼ばれる様,この国のスタイル。
料理の並んだテーブルに村人達と列を作り自分のお皿にごちそうを盛る。
このあたりにはあと1ヶ月程すると,海にオルカの群れがやってくるという。