2009年6月15.18日





6月15日(月)


予定通り、13日にパリに着いたのだが、自動車のバッテリが上がっていたので、バーゼルには、15日の早朝4時に出発。

目的は、数年前から建設工事が進んでいる、スイス、バーゼルのノバルティス薬品のオフィス群である。

2006年に先行して竣工した、妹島和世さん、西沢立衛さんの棟を覚えておられる人もいると思うが、その後、次々と建物が完成していた。

この度のゲーリーの作品は、一連の計画に続くものである。

現場は手直しの最中で、撮影などする雰囲気は無く、建築材料が建物の中に広がっており、ただ唖然とするばかり。

一応、2時間かけて全体を見て、ウィーンに向かうことにした。





6月18日(木)

ウィーン、グラーツとオーストリアの仕事をして、今日はバーゼルに帰ってきた。

まだまだ工事現場の様だが、先日よりは少しましで、内部の撮影だけでもと、撮り始める。

この建築、やはりフランク・ゲーリー調で、空間は複雑、自由奔放。

ゲーリー芸術は行く所を知らず、好調である。

最近の作品の中でもよくまとめられており、空間のつながりが、上下、左右に不自然さがない。

天井は、スティールとガラスのスカイライトで覆われているが、遮光がよく計算されており、不愉快な光の洩れがないのが良い。

おそらく、この中で仕事をする人にとっては、ただ明るいだけでなく、一日を通じて変化する明暗が楽しいはず。

間仕切りはほとんど無く、建物全体が一室空間となっている。

基本的なオフィス家具はゲーリー作。もはやワンマンショーである。

おそらく建築費も他の棟とは比べものにならない待遇である。

現代のオフィス空間の革命であり、賃貸オフィスとは一線を画している。

今後、ますますゲーリー芸術は世界各地に話題作を提供するだろう。

広大な敷地には、現在、日本勢では、槇文彦さん、安藤忠雄さん、谷口吉生さんらの棟も進行している。

(二川幸夫)




GA JAPAN 83
SANAA
ノバルティスキャンパスWSJ158
 

GA DOCUMENT 106
フランク・O・ゲーリー
プリンストン大学ルイス図書館
オンタリオ美術館

GA DOCUMENT 94
フランク・O・ゲーリー
ホテル・マルケス・デ・リスカル